まぐ太のイケリーマン奮闘記!

平凡サラリーマンがイケてるサラリーマンを目指す奮闘記です!

経営のバトンタッチってどうするの? 地域金融機関による事業承継促進事業を活用してみては?

最近は人口減少に伴い、事業所の数も減少傾向が続いています。

これに大きな危機感をもっているのが地方銀行や信用金庫等の地域金融機関です。最近は低金利によって本来の金利収入が低下していたり、フィンテック企業の躍進により聖域と言われていた預金や為替による収益も減少しております。この状況で人口減少や事業所減少となってしまうと、地域経済が縮小するどころか成り立たなくなってしまう状況です。

「この状況を放置しておくのはマズい」ということで東京都は「地域金融機関による事業承継促進事業」なるものを開始しました。

 

 

事業の目的

「地域金融機関による事業承継促進事業」は、地域金融機関が事業承継に係る啓発から計画の策定、資金供給までの支援を一気通貫でサポートします。そうすることで、地域経済において大きな役割を果たす中小企業が保有する技術や人材の次世代への引継ぎを促進することを目的としています。

 

事業承継問題

東京都の中小企業数(法人+個人事業主)の数は

2009年:487,729社

2016年:413,408社

となっており、74,321社が減少しています。

平成31年度版中小企業白書付属統計資料より

 

事業承継とは、「現経営者から後継者へ事業のバトンタッチ」を行うことで、企業がこれまで培ってきた様々な財産(人・物・金・知的財産など)を上手に引継ぎ、承継後の経営を安定させるために重要な行為となります。

しかし依然として事業承継が進まないのにはいくつか理由があると考えられています。

 

経営者側の事情

会社の先行きに不安があり、承継に消極的

いつかは必要だが「まだまだできる」と考えており、具体的行動には移していない(創業者に多いケース)

後継者は候補はいるが、まだ任せられない

金融機関に相談すると追加融資が断られるのではないかと心配

事業承継セミナーに行くと、事業存続について取引先等から懐疑的に思われてしまうか心配

後継者候補がいない

 

後継者側の事情

自分から言い出すのは遠慮があり心苦しい

他社に就職していて稼業には戻れない

 

構造的課題

相続税贈与税など税制負担

融資に対して個人保証や個人財産を担保設定している

 

上記以外にも企業によってさまざまな理由があると思います。

よく耳にする「人・物・金」を事業承継に当てはめると「後継者・設備や不動産・資金や自社株式」と考えられます。この部分についてはイメージが持ちやすいかと思います。確かにこの「人・物・金」の承継もとても大切です。

しかしこれらと同じくらい大切な経営資産も存在します。それは「経営理念・特許やノウハウ・熟練工の匠の技・社長の人脈・顧客情報」といった目に見えにくい資産(強み)です。この部分を専門家により「見えにくい資産」を「見える化」するのが本事業の目的の一つです。

 

 

支援イメージ

この事業運営のゴールは事業承継計画の策定とされています。

1企業最大で8回まで、中小企業診断士公認会計士などの専門家を派遣することができます。承継計画策定のなかで、販路拡大や販促支援等の事業承継以外のニーズが高まることも想定し、他の支援機関との連携も図っていきます。

 

支援イメージ

初回:ヒアリングシートをもとに経営全般に冠する課題のヒアリング

2回目:優先順位を決めて方向性を定める

3〜6回目:事業承継計画策定支援実施

7回目:代表者が策定した事業承継計画書の確認

8回目:事業承継計画書の最終決定

 

 

 

活用のメリット

1.会社の5年後、10年後が把握できる

2.将来を見据えた事業承継計画が完成することで、資金調達計画の時期を金融機関と共有できる

3.後継者との時間軸の共有ができる

4.取引先も安心させることができる

5.専門家支援を8回まで無料で受けられる

6.従業員やその家族の将来を一緒に考えることで、従業員満足どが高まる

 

 

事業承継は会社を存続させるためには必ず必要になります。そしてこの準備については、入念に準備していて損はないでしょう。

普段から顧問の税理士等に相談している事業者の方もセカンドオピニオンのような位置付けで、話を聞くだけも新たな発見があるかもしれません。

自身ではなかなか踏み出しきれなかったり、どこから手をつけていいかわからないという方は、この制度を活用してみてはいかがでしょうか。

『財務3表実践活用法』を読みました!感想と活かせそうなポイント!

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「財務に強いビジネスパーソンになりたい!」と思って始めた財務3表シリーズの読み進め。3部作の最終作『財務3表実践活用法』を読み終えました。本作では実践活用法というだけあって、財務諸表を実際の経営に活かす具体的な方法が多く詰まっていました。

今回はその『財務3表実践活用法』を読んだ感想と、活かせそうなポイントをまとめてみました!

過去のシリーズは以下からどうぞ

 

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なぜ読もうと思ったのか

1.財務3表シリーズを2作読んで最後の作品も気になっていた

2.より実務に活かせそうな内容が知りたかった

3.財務3表の実際の活用法を知りたかった

過去の2作『財務3表一体理解法』『財務3表図解分析法』を読んだことで、財務や会計について、以前と比べかなり詳しくなれた気がします。しかし「見て、理解することはできるが、実際にはどう活かしたらいいの?」という疑問もありました。僕が目指すイケリーマンのイメージはバリバリ行動し結果も残していくようなビジネスパーソン。知識を習得することは大事だが、頭でっかちで活かせなくてはもったいない。「せっかく学んだことを活かせるようになりたい!」という願望に答えてくれたのがこの本でした!

 

この本を一言で表すと

「会計技術を駆使してビジネスセンスを磨け」

日本と海外のビジネスエリートを比較すると圧倒的に会計分野における知識量に差があるようです。日本のビジネスパーソンはPL、つまり”売上”と”利益”を見るだけなのに対し、海外のビジネスエリートはPLだけでなくBSやCS見ながら、常に事業全体を視野に入れて仕事をしているようです。

経済が今以上にグローバル化していくことが予想される中で、会計技術を駆使ししてビジネスの現場に活かしていくことが今後のビジネスパーソンには求められていきます。

 

『財務3表実践活用法』ポイント3つ!

  • 予算から事業をコントロールしろ
  • 利益と現金の違いを認識しろ
  • 投資とリターンを常に意識しろ

 

1.予算から事業をコントロールしろ

事業経営には予算策定が必要です。僕の会社でも予算が割り当てられていきますし、予算を策定している会社は少なくないはずです。

なぜ予算が必要なのか?

企業を”生き物”として捉えると、論理だけでは全て証明することができず、予期せぬことも起こります。この変化する複雑系の社会だからこそ目標が必要になります。目標を設定することで方向性を定め、目標との差異が出たらその差異を分析してフィードバック管理を行うことができるようになります。

予算策定のスタートは「最大の制約要因のもとで期待できる売上高はいくらか?」という問いからスタートし下記のように論理的に進めていきます。

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予算をつくり実行すれば何かしらの成果が表れます。この成果は必ず予算とは異なるはずです。そこで「なぜ実績が予算と異なったのか」という差異分析を行います。予算を立てて実行した結果を分析し、フィードバック・コントロールを効かせて軌道修正をします。これがPDCAの実践となります。

 

2.利益と現金の違いを認識しろ

利益とはあくまでも会計上のルールに従って計算された数字でしかありません。そのため赤字だからといいて会社がすぐに倒産してしまうことはなく、永久に資金援助してくれるパトロンがいれば会社が潰れることはありません。会社が倒産するのはキャッシュが回らなくなった時です。現金は動かしようのない現実ですが、利益は会計上のルールで計算された数字でしかないのです。

意図的にこの利益を操作することもできます。例えば売掛金による売上を増やすことで利益を増加せることができますが、その売掛金が本当に発生しているものかどうかは財務諸表からはわかりません。しかし「利益が出ているのにCSの営業キャッシュフローがマイナスになっている」場合などは合理的な理由を確認する必要があります。

全ての取引はいずれ現金勘定となります。現金こそが事実であり実態なのです。

 

3.投資とリターンを常に意識しろ

ビジネスにおいて売上と利益より大切なのが「投資とリターン」です。日々の事業活動と投資活動の違いは、投資は一度意思決定をすると途中での方向転換が困難ということです。だからこそ投資は慎重に行う必要があります。

では投資評価はどのように考えるのでしょうか。当然に投資評価も「投資とリターン」の関係で行うのですが、投資評価の際の「リターン」は利益ではなく元気収支を意味するのが一般的です。それは投資案件のような長い期間の効果を考える場合には、人為的に区切られた会計期間で考えるのではなく現金の動きで考えても良いのです(但し法人税は考慮する必要もあります)。

実際に投資評価を行う際に「現在価値」という考えが重要になります。現在価値とは「現在の100万円の価値は、1年後の100万円の価値とは違う」ということです。

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現在手元に100万円があり、それを定期預金に預けたとします。年利が1%だとすると、現在の100万円は1年後の105万円と同等の価値があることになります。同じように1年後の100万円を現在の価値に直すと95万2千円となります。

これから具体的な投資案件の比較をしていきます

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どの案も初年度に100万円の投資をするため、年度「0」が-100となっています。

A案:毎年5万円ずつ入金。5年目に105万円が入金

B案:毎年25万円の入金が5年間継続。

C案:1年目に50万円、2年目に25万円というように期が早いうちに比較的大きなリターンが期待できるもの。

これら3つの投資案件はどれも100万円を投資して、5年間合計で125万円のリターンがあります。これらの投資案件をどのように評価していくべきか見ていきましょう。

多くの企業が投資評価に使っている「回収期間法」(この例の場合、100万円の投資を回収するのにどのくらいの期間を要するかというもの。回収期間が短いほど高効率とされる)で見てみると、B,Cは4年。Aは5年となります。よってA案よりもB,C案の方が効率が良いと言えます。

では回収期間が同じB案とC案は同じ価値の投資案件と言えるのでしょうか。ここで上記で説明した「現在価値」を使います。この現在価値という考え方を使った投資評価の方法にIRR(Internal Rate of Return 日本語で内部収益率)という考え方があります。IRRは投資額とその投資に伴うリターンの現在価値の総額が同じになる利率を計算して求めるもので、投資案件の利率のようなものです。

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 IRRを用いればリターンの総額も回数期間も同じだった投資案件BとCですが、実はC案の方が効率の良い投資であるということがわかります。

 

 

感想

財務3表シリーズを読んでみて、読む前と後では財務諸表に対する考えが大きく変わりました。以前は「売り上げはこの程度で、利益はこのくらいか」といったように財務諸表が表すほんの一部しか見ていませんでしたが、このシリーズを通してPLだけでなくBS、CSの大切さや示している数字の意味が理解できるようになりました。

また本書ではM&Aにおける企業価値の算出方法など、注目されている金融分野での解説もあり今後さらに活用する場面が増えそうです。

あとは行動するのみ!しっかりと実践で活かして自分の力にできるよう頑張っていきます!

 

 

内容

「理解」から「分析」、そして「実践活用」へ。累計50万部突破、「財務3表シリーズ」の第3弾がついに刊行! ! 決算書は「企業経営の成績書」といわれるが、実は過去を振り返るだけでなく、ビジネスの構造や将来を考える材料としても使える。経営者の意思をつかむ、事業再生を考える、予算をコントロールする……。ビジネスのあらゆる場面で財務3表が活用できて、あなたの会社の事業で即、使える! ビジネスマン必読。

Amazonより

 

著者紹介

國貞/克則
1961年生まれ。83年東北大学工学部卒業後、神戸製鋼所入社。海外プラント輸出、人事などを経て、2001年に独立。経営コンサルティングを行いながら、会計研修のオリジナル・プログラムを開発した

 Amazonより

『財務3表図解分析法』を読みました! 感想と活かせそうなポイント!

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先日『財務3表一体理解法』に関する記事を投稿させていただきました。読んでくださった方々は本当にありがとうございます。この財務3表シリーズは、『財務3表一体理解法』『財務3表図解分析法』『財務3表実践活用法』の3冊でひとつとなっています。

まだシリーズ1作目の『財務3表一体理解法』をお読みになっていない方は、こちらが参考になれば幸いです。

 

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今回は第2作目となる『財務3表図解分析法』を読みましたので、何か皆様の参考になればと思い感想等を交えながら書いていきます。

 

 

なぜ読もうと思ったのか?

  1. 『財務3表一体理解法』が面白く勉強になったから
  2. 有名企業を題材にしていてイメージが掴みたかった。
  3. より踏み込んだ財務の勉強がしたかった。

前作『財務3表一体理解法』を読んでからより財務というものに興味を持つようになりました。その理由はなにより前作が面白く勉強になったからです。そのまま「もっと勉強したい」と興味を持つようになり本書を手に取りました。本書ではトヨタソフトバンクといった超有名企業を事例に取り上げており、普段テレビCMのイメージだけではわからない、数字で捉えた実態の姿を学ぶことができました。「図解分析」ということもあり、脳内で決算数字を図解に変換しイメージすることが以前よりスムーズになった気がします。

 

この本を一言であらわすと?

「デジタルデータをアナログ変換しろ」

人間は数字の羅列であるデジタルデータより、データを図にしたアナログデータの方が、沢山の情報を瞬時に直感的に読み取ることができます。財務にしても財務分析指標(流動比率固定長期適合率など)の計算式を文字列で羅列して書かれても、特に馴染みのない人は理解するのが大変ですが、図で見ることでその意味を瞬時に理解することができます。

 

『財務3表図解分析法』ポイント3つ!

  • 「デュポン・モデル」をベースに考えろ
  • キャッシュフロー分析から経営戦略を読み取れ
  • 財務諸表の限界を知っておけ

 

1.「デュポン・モデル」をベースに考えろ

社長には、事業全体のプロセスを効率よく運営することが求められます。これを評価する指標がROEと言われるものです。事業全体の効率を表すROEの数値は、財務レバレッジ総資本回転率当期純利益というそれぞれのフェーズの分析結果を掛け合わせることで決まります。

そのROEと関係しているのが「デュポン・モデル」です。デュポン・モデルとは1920年代にアメリカの化学会社DuPontが導入した業績管理手法の考え方です。ROEを算出するためのそれぞれのフェーズの数値を意識して見ていくことで、分析対象会社がどのフェーズをいかに効率よく経営しているかがわかります。

事業全体を「資産を取得するため資金を調達する」「資産を売上に変える」「売上を利益に変える」の3つのフェーズに分割します。

「資産を取得するために資金を調達する」とは資本金などの自己資本のほかに借入金などの他人資本をどのくらいの割合で使用しているかということを分析します。これは「財務レバレッジ」という指標で分析できます。

財務レバレッジ=総資本÷自己資本です。

「資産を売上に変える」とは調達した資産をいかに効率よく使って売上を上げているかということで「総資本回転率」という指標で分析できます。

総資本回転率=売上高÷総資本です。

「売上を利益に変える」とは売上高をいかに効率よく利益に変えているかということで「当期純利益率」という指標で判断できます。

当期純利益率=当期純利益÷売上高×100で求められます。

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ROE、財務レバレッジ総資本回転率当期純利益率をチェックすることでザックリと会社の状態が分析できるのです。

ここまでのプロセスをPLとBSの図を用いて表すと、資本主義社会の仕組みが見えてきます。

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自己資本で事業を始めるのではなく、金融機関から借入等を行い資本を集めるとします。このように自己資本に対しどのくらいの割合で他人資本を使っているのかを表すのが財務レバレッジです。

②次に調達した資産を使って売り上げを上げます。この総資本と売上高の比が総資本回転率です。

③この売上高を当期純利益に変えていくのが当期純利益率です。

最終的にはこの当期純利益がBSの利益剰余金に積み上がり株主の自己資本を増やしていくことになります。つまり資本主義社会とは、株主の資本金を元手に事業が始まり、他人の資本を使い事業を行い、その事業によって生み出された利益が株主の自己資本を増やしていくという構造なのです。

事業全体の効率を評価するROEは、「財務レバレッジ」「総資本回転率」「当期純利益率」の掛け算で算出できます。

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ここまで説明してきた事業の3つのフェーズを見ていき分析対象会社がどのフェーズをいかに効率よく経営しているかを分析することが大切になります。各プロセスを評価する場合に一般的に総資本回転率当期純利益率は高い方がいいとされますが、財務レバレッジだけは高いからいい、低いから悪いということではありません。財務レバレッジは良しあしではなく、事業経営の姿勢や方向性を表している指標なのです。

 

2.キャッシュフロー分析から経営戦略を読み取れ

キャッシュフロー計算書(CS)は毎年会社が何からキャッシュ(現金)を得て、それを何に使ったかが一目瞭然になる表です。CSを見れば会社がどんな状況にあるか、経営者が何を考えているかがわかります。

CSは現金の出入りを表す収支計算書です。それが「営業キャッシュフロー」「投資キャッシュフロー」「財務キャッシュフロー」の3つに分かれています。従ってこれら3つの欄がそれぞれ、現金が増えてる場合は(+)と現金が減っている場合(-)に分かれます。この(+)と(-)の組み合わせは下記図のように8通りのパターンがあります。

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下の図は三菱自動車の2016年3月期におけるCSの投資CFと財務CFの抜粋です。

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表の上の方にある「有形固定資産の取得による支出」の欄を見てください。

前期:856億円、当期:690億円です。

当社は毎年600億円〜900億円程度の設備投資を行なっております。ただ当期は「有形固定資産の取得による支出」とほぼ同額の「有形固定資産の売却による収入」が640億円計上されており、投資CFの総額は例年に比べ少なくなっています。

財務CFに目を向けてみると、短期借入金や長期借入金の返済で多額の支出となっています。過去5年間のCSを見てもほぼ一貫して借入期の返済を続けています。その結果が下の図です。

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三菱自動車は借入金を減らし、自己資本比率の高い財務的に安定した企業にすることが経営上の大きな方針であったことが分かります。

 

3.財務諸表の限界を知っておけ

私たち会計の素人が財務諸表から読み取れることには限界があります。例えば大企業の各事業部がどういう戦略で戦っているか、これから戦おうとしているのかはわかりません。

また対象企業の将来を予測することもできません。2000年代初頭のスバルとシャープの評価は、現在とは真逆でした。自動車業界一人負けのスバルに対し、電機業界トップクラスの営業利益率を誇る超優良企業のシャープでした。その状況が今では現時点では完全に逆転しています。しかしこれから両社がどうなっていくかは誰にもわかりません。

不正会計や粉飾を財務諸表から見抜くのも困難です。こういう場合は財務諸表になる前の、数字の認識や評価の前提によって行われます。例えば在庫や売掛金架空積み増しによる利益操作などは、在庫や売掛金が本当に存在するかどうかを確かめようとすると、実際の在庫や資料を確認したり売掛先企業に直接確認しなくてはなりません。

財務諸表とは「企業の全てがわか」わけではありません。そのような前提に立ったうえで財務諸表を見てみると、対象企業に関して知らなかった情報が想像以上に得られることもあるのです。「どのようなことで稼いでいるのか」「現在の財務状態は良好なのか」「経営者は何を考えて経営をしているのか」など企業に対して漠然と持っているイメージだけではわからない、企業経営に関する具体的な情報が財務諸表にから読み取れるのです。

 

感想

 前回読んだ『財務3表一体理解法』に続き読んだ本作でしたが、実際の企業を多くモデルにしていることもあり、読み進めていくうちにその企業にたいするイメージが変わりました。

BSの形をよりビジュアル的に捉えやすくなっており、より財務を図で考えられるようになったと感じます。またCSについての説明も前作より多く盛り込まれており、前作ではなかなかイメージの難しかった部分についても理解を深めることができました。

引き続き3作目を読んでいる最中なので、読み終えたらこちらにまとめていきたいと思います。

 

内容

ベストセラー『財務3表一体分析法』の全面改訂版。
財務3表を図解したオリジナル図はそのままだが、
取り上げる会社を見直し、数字は最新決算に一新!
財務データの中でも、キャッシュフロー計算書の読み解き方が出色。
財務3表を図式化すれば、経営状態が手に取るようにわかる!ベストセラー『財務3表一体分析法』を全面改訂。貸借対照表(BS)と損益計算書(PL)をオリジナル図にし、キャッシュフロー計算書(CS)から経営者の意思を読む。「期間比較」や「同業他社比較」など多角的な分析法を紹介、グローバル時代に合わせて超巨大多国籍企業も俎上に載せる。『増補改訂財務3表一体理解法』との併読がおすすめ。初読者も既読者も、そしてすべてのビジネスマン必読!

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著者紹介

國貞/克則
1961年岡山県生まれ。東北大学機械工学科卒業後、神戸製鋼所入社。海外プラント建設事業部、人事部、鉄鋼海外事業企画部、建設機械事業部などで業務に従事。1996年米国クレアモント大学ピーター・ドラッカー経営大学院でMBA取得。2001年ボナ・ヴィータコーポレーションを設立。日経ビジネススクールなどで公開セミナーやeラーニングの講座を担当している

 Amazonより

『財務3表一体理解法』を読みました。 感想と活かせそうなポイント!

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最近ニュース見ていると、企業決算のニュースが特に目につきます。「○○会社は増収増益見通し!」「○○会社 300人の人員削減」など。企業決算はインターネットでも簡単に見れますし、最近では個人の投資なども増えてきました。それに伴って企業決算を見る機会も増えてきたのではないでしょうか。

今や「会計」とは身近な存在。経理部門でなくてもビジネスパーソンは決算書を見たり財務分析を行ったりする必要もあるかと思います。実際私も決算書を見たりする機会があり、「もっと財務に詳しくなりたい!」「もっと数字に強くなりたい!」と思うことが多々あります。

今回は私が入社3年目くらいの時に会社の研修で紹介された「財務3表一体理解法」を読んでみましたので、ここで皆様にもご案内できたらと思います。

この本を題材にした社内研修で私自身、具体的に頭の中に入ってきたことを強烈に覚えています。財務や会計に対する苦手意識を克服することができた一冊です。

 

なぜ読もうと思ったのか

  1. 財務がわかるビジネスパーソンになりたい
  2. 数字に強くなりたい
  3. 同僚や先輩と差をつけたい

先日入社当初の研修で「財務や会計には強いほうがいい」と誰かに言われたのを漠然と思い出しました。もともと企業財務については興味があり、その時の研修で今回この本を読んでみようと思いました。自分の中で一つ核となる強みを身に着けることで、自分に自信を持ったり、まわりと差別化を図っていきたいと思ったのが、この本を手に取ったきっかけです。

 

 

この本を一言で表すと

「5つのつながりを意識しろ」

財務諸表には「基本財務3表」(損益計算書貸借対照表キャッシュフロー計算書)があります。この基本財務3表の5つのつながりを捉えることで会計の全体像と仕組みがわかりやすく入ってきます。

 

 

『財務3表一体理解法』ポイント3つ

  1. 頭と手を動かせ
  2. 個別のケーススタディで学べ
  3. コラムを読め

 

頭と手を動かせ

第2章では実際に読者が会社を設立したと仮定し、商流の流れに沿って話が進みます。その際に会計上起こるイベントが財務諸表にどのような影響を与えるのか、実際に書き込みながら進みます。そうすることでより当事者意識を持つことができ、すっと頭に入ってきます。

 

1.「5つのつながり」を意識する

財務諸表を読むには、各資料の「つながり」を意識することが大切です。以下そのつながりのポイント。

A.損益計算書(以下PL)の当期純利益は、貸借対照表(以下BS)の純資産の部の繰越利益剰余金が一致する

B.BSの右側合計と左側合計が一致する

C.直接法キャッシュフロー計算書(以下CS)の一番下の「現金の残高」とBSの「現金」は一致する

D.間接法CSの一番上とPLの税引前当期純利益と一致する

 E.間接法CSの営業キャッシュフロー(以下CF)と直接法CSの営業CFは一致する

 

2.手を動かす

第2章では読者が設立した会社の取引毎に一つ一つ財務諸表を作っていきます。巻末に空欄の財務諸表があり書きながら進めていきます。少し面倒にも感じるかもしれませんが、書きながら進めていく方が理解度も良くなるのでお勧めです!

 

 

個別のケースステディで学べ

第3章では会計基準が大きく変わった2000年~2005年後の新し会計基準について詳しく説明があります。内容としては「退職給付会計」「時価会計」「税効果会計」「減損会計」「自己株式の取得」です。これらについては第2章で自らが設立した会社の商流の流れを継続して展開されるため理解しやすいです。

第4章では連結会計国際会計基準IFRS)、純資産についても説明が個別のケーススタディで学べます。

 

1.税効果会計とは?

 財務諸表は会計の会計の原則に従い作られますが、税金は税法に従って計算されます。会計基準と税法の基準は異なるのです。

会計:収益-費用=利益

税法:益金-損金=課税所得

この費用損金は似ていますが、認識の範囲やタイミングが異なるようです。これにより税金の計算と会計が相違することがあります。そこで税法による実際の税額表記を残したまま、会計と整合性がとれた税額も同時に表記したのが税効果会計です。会計ではPLの法人税等の下に「法人税等調整額」という項目を設け、BSには「繰延税金資産」を設けます。税効果会計には現金を伴う動きが発生しないためCSに動きはありません。

 

2.IFRSって何が違うの?

IFRSとは”イファース”、”アイフォース”と呼ばれ国際会計基準国際財務報告基準のことです。会計の専門家でない人が財務諸表を理解・利用するにあたり、国際会計基準においても本書で説明されている会計の全体像と基本的な仕組みに大きな差はありません。しかしいくつか異なる点もあるため以下に挙げていきます。

貸借対照表:個別決算では「退職給付に係る調整累計額」の扱いが異なります。連結では大差ありません。

損益計算書:日本の会計基準には「その他包括利益計算書」部分がありません。連結では大差ありません。

包括利益とは資本取引を除く純資産の部の変動要因全てのことを指します。国際会計基準包括利益を重視するのは、会社の事業利益だけでなく会社の真の価値を評価していこうという考え方によるものなのです。

 

3.純資産の部の”準備金”って何?

BSの純資産の部には「株主資本」「その他の包括利益累計額」「新株予約権」「非支配株主持分」に分けられます。ここではその中でも特に「株主資本」の資本準備金利益準備金の”準備金”について見ていきます。

株主資本は「資本金」「準備金」「その他剰余金」に大きく分けることができます。この中で株主資本を理解するための大きな鍵となるのが、「資本準備金」と「利益準備金」の2つの”準備金”です。

これらは法律で積み立てることが求められています。株主から注入される資本と、会社が稼ぎ出した留保利益は明確に区分され、資本の中からの積み立てが資本準備金で、留保利益の中の積み立てが利益準備金です。

資本準備金

債権者側から見る資本金と株主側からみる資本金は意味合いが違ってきます。債権者は資本金を見てその会社が債権者を保護する余裕がどれくらいあるのかを見るのに対し、株主は出資額に対し資本金に算入する部分が少ないほど払い戻しや配当に対する制限が少なくなります。そのような利害関係の狭間で生まれたのが準備金です。会社法では出仕額の2分の1を超えない額を資本準備金として計上できます。準備金は将来の欠損に備えるために準備しているものという考えになります。

利益準備金

資本準備金に対し利益準備金には債権者の保護という明確な目的があります。会社法では配当する場合に配当額の10分の1を利益準備金として積み立てなければなりません(例外あり)。会社が稼ぎ出した留保利益は本来配当可能であるべきですが、この留保利益の一部を利益準備金として配当できないものとし、株主資本の維持あるいは減少を防ぎ、債権者の保護を図っているのです。

 

 

コラムを読め

『財務3表一体理解法』には11のコラムがあります。財務諸表を一体でりかいするという本命の目的のほかに、このコラムでは「事業主目線」のアドバイスがちりばめられているように感じます。特に経営層にいる方や個人で事業を営んでいる人たちには、より参考となるものもあるかもしれません。

 

1.経営感覚を高めるPLの見方

1日3万円の研修を受講したとします。この3万円の受講料を賄うためには会社はいったいいくらの売上を上げる必要があるでしょうか。仮に荒利率が10%だとすると30万円の売上が必要です。つまりこの研修費用は30万円の売上に匹敵するのです。このようにPLを下からの見ていく癖をつけていくとコスト感覚・経営感覚が磨かれます。

 

2.「人間」は財務諸表には出てこない

完成度の高い財務3表にも表れないものがあります。それは「人間」と「知恵」の価値です。人間の価値に関して財務3表に表れるのは給料や退職金の金額だけです。人間の価値はそれだけで決まるものではありません。

また特許権などの知的財産も財務3表にはでてきません。BSの無形固定資産の項目に特許の取得費用は計上されますが、本当の価値とは言えません。

この見方をすると企業とは「製造ノウハウ」や「営業ノウハウ」などがたくさん詰まっていますが財務諸表上には出てきません。将来の成長を診断するうえで欠かせない判断材料である社員の価値や知的財産の価値は財務諸表では計れないのです。

 

3.勘定合って銭足らず

「利益」 と「現金」は別物です。PL上で利益計上しているから必ず社内に現金があるとは限りません。

PLはその期の正しい営業活動を説明するために、売掛金や買掛金のように現金の動きのない売上高や仕入高が計上されるからです。

またPLには企業がお金を集めてくる借入金や資本金などといった現金の動きは一切現れません。これらによりPLの利益は現金とは一切関係のない数字になっているのです

 

感想

この本を読み進めてくなかで、財務3表のつながりの理解が深まったような気がします。個別の取引について考えてみると、その後の財務3表の影響を想定して考えられるようになった気がします。

この財務3表シリーズには2冊あるみたいなのでそちらも読んでみようと思います。

金融機関職員の入社当初の方や、財務に苦手意識のある中小企業経営層や事業主の方にもお勧めの一冊です!

 

内容

簿記を勉強しなくても会計がわかる!
シリーズ累計60万部突破の大ヒット作が内容を大幅に増強して帰ってきた。
刊行後約10年の会計実務の変化に対応したほか、3表を見開き2ページにおさめるなどビジュアル力も大アップ。
初読者も既読者も必読!

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著者紹介

國貞/克則
1961年岡山県生まれ。東北大学機械工学科卒業後、神戸製鋼所入社。海外プラント建設事業部、人事部、鉄鋼海外事業企画部、建設機械事業部などで業務に従事。1996年米国クレアモント大学ピーター・ドラッカー経営大学院でMBA取得。2001年ボナ・ヴィータコーポレーションを設立。日経ビジネススクールなどで公開セミナーやeラーニングの講座を担当している

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『ブログ飯』を読んでみました。 感想と活かせそうなポイント!

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副業が解禁になりつつある最近では、ブログを副業の選択肢に入れる人も増えてきているようですね。

先日は多くのブロガーさんがおススメする、染谷昌利さんの「ブログ飯」を読みました。まぐ太なりの感想や要点をまとめてみました!

これから読んでみたいという方や気になっている方の参考になればうれしいです! 

 

この本をひと言でいうと

とにかく努力しろ

 

ポイント3つ

  1. 心構えを決めろ
  2. 注目されろ
  3. 継続しろ

 

 

ブログを書く上での心構え

ブログを書く上で核となる部分です。著者の染谷さんも「一番大切」だと言っています。これからはさらに2つに掘り下げて書いていきます。

1.何を誰のために書くかを明確にする

「このメッセージを誰に伝えたくて、何のために書くのか」を考える。

例えば営業の人は自社の商品の”ターゲット層”や”使用したらどんな効果があるのか”を顧客に伝えますよね?ブログも同じでこのブログという”商品”は

  • 誰のために書いているのか
  • 読むとどんなメリットがあるのか

といったことを明確にしなくてはなりません。自身の日記であれば自由気ままに書くことが目的となりますが、この「ブログ飯」はブログの収益化を目的としておりますので、ターゲット層を明確にすることが大事だと書いてあります。

また、書く内容については「1つのジャンルで30記事書けることができるか」と言っています。自分の興味のあることや好きなこと、詳しいことを探してみてください。30記事書けそうなジャンルでないと「いつかネタ切れし書くことが辛くなる」といったことに陥ってしまうようです。

2.わかりやすい文章で書く

ブログは読者が楽しく読んでもらうことが大切です。よってわかりやすい文章を心がける必要があります。特に以下のことを心がけるといいそうです。

  • 専門用語は使わない
  • 例えを工夫する(東京ドーム〇個分など)
  • 小学生が読んでも理解できるか

私も実際にブログで記事を書いていると、専門用語に逃げてしまったり、うまく例えが見つからなかったりと苦戦することが多いです。この3つのポイントだけでも意識すればわかりやすい文章になりそうですよね!

 

 注目されるためには

せっかく一生懸命にブログを書いても、読んでもらわなければ意味がありません。そのためには人の目に留まり、興味を惹かなければなりません。

注目されるための3つのポイント

1.ブログは自分専用のメディアという考え

自分の思ったことや感じたことを自信をもって発信していきましょう。自信を持つためには自然といろいろと調べたりするはずです。いずれその意識が個性となり注目されていきます。

2.面白い文章を書く

いくらわかりやすい文章を書いていても、その内容が面白くなければ注目はされません。客観的なことだけではなく、自分自身が感じたことや考えていることなど、主体的な文章を混ぜていくことで、自分だけの面白い文章が出来上がっていきます。

可能であるならば、文章だけでなく写真や動画などを一緒に提供するのも効果的です。文章では伝わりにくいことも、写真や動画で視覚的に訴える方が効果が高いこともあります。

3.ファンを増やす

 自身の記事が注目され続けるには、ファンを増やしていくことが大切です。ファンになってくれれば、更新した記事にも興味を示してくれ、リピーターとなってくれます。

自身を大地に根を張る大樹とイメージして下さい。多くのことを体験したり、人気のブログを読んで勉強し、根っこを広げましょう。話題の幅を広げたり新しいことにチャレンジしたりと枝葉を広げていきましょう。

読者に有益となる情報を発信し続けることが大切です。

 

継続しろ

ブログを書く上での心構えを学び、実際に記事をいくつか投稿しても、それが継続できなければ意味はありません。大事なのは継続することだと何度も本の中に書いてあります。 始めはアクセス数などは気にせず、3か月は定期的に更新してみましょう。

1.何かをやめる

「継続しろと言われてもそんな時間ないよ」という人も少なくないと思います。多くの人は毎日お仕事で忙しいでしょうし、休日も家事や家族サービスでブログを書く時間なんてなかなか取れない人もいるでしょう。

でも一日のなかでテレビを見ている時間や、ボーっとネットサーフィンをしている時間はありませんか?その時間をブログの執筆に充ててみてはどうでしょうか。

時間は有限です。限られた時間の中で優先順位をつけていきましょう。

2.自分の常識を疑う

自分の考えや常識だと思われる範囲の中で記事を書いていると、同じような表現や意見に偏りがちになってしまいます。居心地のいい場所に安住するのではなく、常に新しいカテゴリや皆がやりたがらないことにチャレンジしてみましょう。

視野が広がり新しい発見や発想が浮かんでくるかもしれません。

3.体験する

継続して記事を書き続けるには、自ら色々なことを体験するのがいい。紹介したい商品があれば自腹で購入したり、知らいないことは勉強してみたり。人は知らないことにお金を出します。だから自ら体験し、学んだことをアウトプットしていきましょう。1つの記事に全力投球し、創意工夫をし続けましょう。

 

感想

『ブログ飯』のまぐ太ポイントはどうだったでしょうか?

僕もこのブログを始めて、「多くの人に読んでもらいたい」とか「せっかくであれば収益化もできるのかな?」とか安易な気持ちで調べていく中でこの本を見つけました。数多くあるブログの中で自分の記事を読んでもらうのは簡単なことではなくて、相当な努力が必要だと突き付けられました。

この本からは著者の努力やブログに向き合う姿勢がたくさん書いてあります。読者にファンになってもらい、ファンであり続けてもらうために数多くの努力に圧倒されそうにもなりました。

「とにかく努力しろ」。そんな言葉が本から聞こえてくる一冊でした。

 

 

内容

この本では、著者がこれまでに得た経験をもとに「ブログで飯を食う」ための、心構えや考え方を中心に紹介する。

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著者

 

染谷昌利さん

1975年生まれ。妻一人息子一人。4年制大学卒業後、就職情報誌の営業、自動車関連企業の人事担当者、不動産関連企業の人事担当および営業担当を12年間経験した後、2009年に非IT系出身ブロガーとして独立。運営するブログ「Xperia 非公式マニュアル」が人気を集め、Google AdSenseの成功事例に取り上げられる。
現在はブログの運営や執筆、講演、企業やブロガー・アフィリエイター向けのコンサルティングにより生計を立てている恐妻家フリーランサー。日本アフィリエイト協議会(JAO)理事。Google AdWords 認定資格者。共著書に『プロが選ぶ WordPress 優良プラグイン事典』(MdN)がある。

個人ブログ:http://someyamasatoshi.jp/
Xperia 非公式マニュアル:http://someya.tv/xperia/

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DXって何? ”2025年の崖”まで残り5年

 

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最近TVなどでもDX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉をよく聞くようになりました。

行政でも政府肝いりでデジタル庁を創設し印鑑や紙での作業の削減に取り組んだり、民間企業でもRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を導入し事務作業の削減や事務人員の配置転換を行っています。

今日本が総力を上げてデジタル化を進める背景には「2025年の崖」というものが関係しています。今回は「2025年の崖」について簡単に解説し、中小企業・個人事業経営の目線からはどんな取り組みができるのかを考えていきます。

 

「2025年の崖」とは?

平成30年に経済産業省の「DXレポート」の中で用いられています。DXレポートによると2025年の崖とは、「DXを実現できない場合2025年以降最大12兆円の経済損失が生じる可能性」のことを指しています。

DXとはもともと「ITの浸透により人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」という概念です。ビジネスでは「企業が激しい環境変化に対応し、データ・デジタル技術を活用し、顧客や社会のニーズを基に製品・サービス・ビジネスモデルを変革するとともに、業務や組織・プロセス・企業文化や風土を変革し、競争優位性を確立すること」と示されています。

DXに取り組まずに放置してしまうことで、デジタル競争の敗者となりグローバル競争でも日本企業が攻めあぐねてしまう状態となることが予想されています。

 

DX実現へのハードルと対応策

 2025年の崖を乗り越えるためには大きく2つのハードルがあります。「経営」と「人材」です。それぞれのハードルと対応策を見ていきます。

 

経営面

経営面のハードル

  1. 既存システムの「レガシーシステム化」
  2. 技術的負債

 レガシーシステムとは、技術面の老朽化、システムの肥大化・複雑化、ブラックボックス化等の問題があり、結果として経営・事業戦略上の足かせ、高コスト構造の原因となっているシステムのことです。日本企業の約8割の企業がレガシーシステムを抱えており、うち7割が自社のデジタル化の足かせとなっていると考えられています。長年利用していたレガシーシステムはメンテナンスにより肥大化・複雑化していく中で、誰にもわからないブラックボックス化した部分が増えてきました。

これまでのように既存システムが老朽化・複雑化・ブラックボックス化する中では、新しいデジタル技術を導入したとしても、データの活用量・連携が限定的でありその効果も限定的となる懸念があります。加えて既存のレガシーシステムの維持や管理に、IT予算や人材の大部分が割かれています。この状態が続けば今後はますます維持・保守コストが高騰する、いわゆる技術的負債が増大していきます。

 

対応策

  1. IT予算比率の変更
  2. マイクロサービスやテスト環境自動化の導入
  3. ユーザー企業とベンダー企業の新たな関係性構築

企業当たりのIT予算比率は2017年時点で、「現行システムの維持・運営」(ラン・ザ・ビジネス)と「戦略的なIT投資」(バリュー・アップ)の比率は8:2でした。これを6:4にすることを目指します。

既存システムの刷新となると大規模・長期プロジェクトとなる恐れがあります。そのためビジネス上頻繁に更新することが求められる機能については、システム刷新における移行期においてマイクロサービス化することで細分化し、アジャイル開発方法(大きな単位でシステムを区切ることなく、小単位で実装とテストを繰り返し開発を進める手法)に段階的に刷新するアプローチを検討します。

具体的なシステム構築までのプロセスを整えていくとともに、ユーザー企業とベンダー企業間でのトラブル発生リスクを低減するため契約ガイドラインを含め環境を整備していくことが必要です。

技術的負債を解消しつつ 、クラウドや共通プラットフォームの活用により投資を効率化し、新たなデジタル技術の活用によりビジネス上投資効果の高い分野に資金をシフトさせます。さらにマイクロサービスの導入やテスト環境の自動化により開発の効率化やリリース作業の短縮化することで経営面における課題克服を目指します。

 

人材面

人材面のハードル

  1. 経営層の危機意識
  2. IT人材の不足

現在、多くの経営層が将来の成長や競争力強化のためにDXの必要性を理解していることでしょう。一方でDXを実行しようとする企業の中で、経営層の強いコミットが少ないと指摘されています。例えば既存のレガシーシステムを刷新するのではなく改修して利用し続けたり、ベンダー企業にシステム開発依頼をかけた時点で仕事が終わっているため企業価値を高められないなどです。

経営層だけではなくユーザー企業の中にはシステムに精通した人やプロジェクトマネジメントできる人材が不足しています。これにより業務プロセスや周辺システムとの関係を明確にし、将来のシステムビジョンを描くことができません。

上記の状態が続くことで、

レガシーシステムを把握している人材が高齢化し退職

先端的な技術を学んだ若い人材がレガシーシステムのメンテナンス業務に割り当てられる

若い人材にとっては魅力的な業務でないため離職

いつまでたってもレガシーシステムの刷新も人事育成も進まない

といった負の連鎖を生み出してしまいます。

 

対応策

  1. IT人材分布比率の変更
  2. 平均年収の底上げ

2017年時点でのIT人材分布はユーザー企業:ベンダー企業は3:7となっています。これを5:5と欧州並みの比率を目指しています。

まずはユーザー企業、ベンダー企業に求められる人材スキルを明確にします。さらにアジャイル開発や新たに整備されたITスキル標準や資格試験の活用、産学連携の人材育成を通し人材を育成していきます。

特にユーザー企業のあらゆる事業部門でデジタル技術を活用し、事業のデジタル化をできる人材を育成します。そうすることで既存システムの維持・保守業務から最先端のデジタル分野に人員配置をシフトしていきます。

経営層の意識改革を促し、必要なIT投資を行うには優秀な人材と安心して働ける職場環境が必要です。IT人材を増やしていくために人材への投資(待遇)も必要となってくるでしょう。

 

 

中小企業・個人事業主が2025年の崖を超えるには

データ量が爆発的に増大していく中で、DXを実行できるかがあらゆる産業において競争力・存続の可否を決する最重要課題のひとつです。

中小零細企業個人事業主の場合、大企業のように既存システムが構築されていないケースも少なくないと思います。それは逆にチャンスではないかと思います。既存のレガシーシステムの維持管理に莫大な労力を費やしていないのであれば、初めから体制を整えITの活用を進めていけばいいのです。

デジタル技術の導入や促進では様々な補助金助成金がもらえる可能性もあります。また色々なサービスを提供している企業もあります。重要なのは自社でしっかりとIT人材を整え、導入したシステムがレガシーシステムとなってしまわないよう自社の体制を整えていくことではないかと思います。

当ブログでもそんな支援サービスやツールをご紹介していければと思います。

 

2025年の崖「サマリー」

https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_transformation/pdf/20180907_01.pdf

2025年の崖「本文」

https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_transformation/pdf/20180907_03.pdf

2025年の崖「簡易版」

https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_transformation/pdf/20180907_02.pdf

事業承継やコンプライアンス経営のためのチェックシートがあった! 日弁連のチェックシートを活用してみては。

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2020年9月2日の日経新聞に、「事業承継に関する弁護士の活用」についての記事が載っていました。

 日本は将来的に事業所の数が減少していくことが懸念されています。その原因の一つに「後継者不在」があります。後継者が不在の理由は”子供がいない”、”任せられる人がいない”、”手を挙げる人がいない”など様々です。

しかし「事業承継」という大イベントには色々なトラブルが発生することもあるようです。

日経の記事では

弁護士はトラブル後にやむを得ず頼る相手というイメージが強いと思いますが、もめ事が起きる前の相談も受け入れています。

 とあり、日弁連の「事業承継のトラブル・チェックシート」を紹介していました。

 

 

日弁連とは

まず日弁連とは公式HPによると、

 日弁連は、弁護士等の指導、連絡および監督に関する事務を行い、弁護士の使命である、人権擁護と社会正義を実現するため、様々な活動を行っています。

とあり弁護士や弁護士会などから構成され、様々な活動を行っています。

その日弁連が、中小企業者向けに事業承継に潜む法的トラブルに関するチェックリストを作成しています。

 企業・個人事業者のみなさまにとって、「弁護士」とは、どんな存在でしょうか?どのようなイメージをお持ちでしょうか?
おそらく、「自分たちには関係がない」、「弁護士は裁判沙汰にならないと関係ない」、「費用が高い」、「面倒である」というのが本音でしょう。

ただ、われわれ弁護士が、日々、企業・個人事業者のみなさまから相談を受け、法的トラブルを解決していくものには、「もっと早く弁護士が関与していれば、こんな法的トラブルに巻き込まれることはなかったのではないか」との感想を抱くことが少なくありません。
また、弁護士というと「裁判」と思われがちですが、ビジネスの日常に潜む法的問題について相談することもできますし、何より,コンプライアンスを踏まえた経営戦略は後々のビジネスの成功へと繋がります。

そこで、日弁連では、企業・個人事業者のみなさまが、経営に関する法的トラブルの可能性に気付く「きっかけ」として、中小企業のためのチェックシートを作成いたしました。ぜひ、ご活用ください。

*1

 

チェックシートについて

日弁連が公表しているチェックシートは3つあります。

コンプライアンス・チェックシートは、企業経営をするにあたっての「内部紛争を防止するための会社のルール」や「従業員との労働紛争を防止するための職場のルール」など7つの大項目に分けられています。企業経営をするうえでの一つの指針としていくことで色々な法的トラブルを防止することができます。

事業承継トラブル・チェックシート(経営者向け)では、事業承継を行うにあたり法的トラブルが起きないよう、現在の経営者がチェックしておくべき項目がまとめられています。「今までの会社経営が要因となる場合」「相続や贈与が要因となる場合」など12の大項目から作成されており、10個以上当てはまるようなら弁護士のお話を聞くことをお勧めしています。

事業承継トラブル・チェックシート(後継者向け)では、事業を引き継ぐにあたり事前に確認しておくべき11の大項目が後継者目線で書かれています。こちらも10個以上当てはまるようなら弁護士のお話を聞くことをお勧めしています。

3つのチェックシートには全て実際の具体例と、その具体例に対する法的トラブルの可能性、解説が付けられており、気になる部分だけ読むのでも十分参考になるのではないかと思います。

 

事業は廃業等を行わない限りどこかの時点では承継が必要になってきます。今は具体的なことが何も決まっていなくても、「どんな対策が必要なのか」「どのようなことを整備しておけばいいのか」などを知っておくだけでも違うのではないでしょうか。いつか訪れる時への備えとして、参考になれば幸いです。

今後裁判や訴訟も身近になっていく可能性もあります。事業承継という企業や経営者、後継者だけでなく従業員など、その企業に関わる全ての人たちにとっての大切な取り組みを法的トラブルで台無しにしないためにも、本チェックシートを参考にし活用してみてはいかがでしょうか。

 

www.nichibenren.or.jp

*1:日弁連公式HPより