先日、人事異動の辞令が出て、仕事での役割が、プレーヤーからプレイングマネジャーへと変わりました。いわゆる中間管理職というものです。
今までと比べ、役割ややり方などがガラッと変わり、まだ地に足がついていない感覚です。今まではプレーヤーとして、自分の顧客に対する仕事のみをすれば良かったのですが、立場が変わるとそういうわけにはいかず、自身がマネジメントする組織全体のパフォーマンスの発揮が求められるようになりました。
しかし、特段「どのようにマネジメントしていくのか」といった研修もあるわけでもなく、いきなり今までとは違う成果物を求められる。突然戦場に投げ込まれた感じです…。
自分なりに試行錯誤するしかないので、先輩上司にアドバイスを求めたり、自身でプレイングマネジャーについて勉強してみることにしました。
今回勉強させていただいたのは
田島弓子さん著『プレイングマネージャーの教科書』です。
プレーヤーでもなくマネージャーでもない、「プレイングマネージャー」について書かれていそうだったため購入しました。マネジメント専門のマネージャーだと、なかなか内容が実務に合致していなかったりする箇所もありそうだったので、このタイトルに惹かれました。
この本を一言で表すのなら?
「プレイングマネジャーの仕事=コミュニケーション」
プレイングマネジャーとは、いわゆる中間管理職。チーム内や各課、部門、社内外の間に入り、調整役としての役割を求められることが多いです。仕事がスムーズに流れ、チームパフォーマンスが大きく発揮できるように、中間管理職がハブ(複数のパソコンを繋ぐネットワーク機器のようなもの)として機能する必要があります。
そのために必要なのは、「強力なリーダーシップ<ハブ型マネジャーシップ」です。そしてハブ型マネジャーシップに欠かせないのが、コミュニケーションなのです。
特に印象に残った部分
コミュニケーションを仕事のツールとして捉える
①話しかけられ上手になり、引き出し上手に!
部下や周りから、「いつでも話してきていいよ」、と思われる雰囲気を演出することがまずはベースとなります。そのためには、いつも余裕なく焦っていたり仕事に追われている素振りは禁物です。
「相手が何でも話してくれるようになること=引き出し力」です。コミュニケーションで大切なのは「聞くこと」だとはよく耳にします。聞くことに徹することで、相手が何でも話してくれるようになり、円滑なコミュニケーションが可能になるようです。
②ハブ力
異なる価値観を持つ世代間や上下の世代の意思疎通をはかる、「ミドル・アップダウン」こそが、プレイングマネジャーの大きな役割だとしています。そのためにはコミュニケーションスキルは欠かせません。世代間・役職間の通訳の達人となり、多くの人の相談役になることが必要です。「相談役=信頼される人」です。つまりビジネスチャンスを含めた多くの情報が集まってきます。このようにコミュニケーションの通訳をポジティブに捉え「ハブ」という役割に取り組んでみるといいかもしれません。
③根回し+場回し
コミュニケーションが機能する条件は、「相手をよく知り、自分がまず動き、
場回しする」の3つのようです。「場回し=チームメンバーが自発的に動くための環境づくり」です。
ではどのように場回しを行うのか、プロセスを見ていきます。
- 根回し:利害関係が対立していても、各部署とコンセンサスを図っておく
- 突破口となる:先陣を切りクライアントに提案することで、チームで動く空気を作ります。
- 情報共有:動いて得た情報を共有。
- 道筋をつける:メンバーが自然と自発的に動くようにする。
根回しと場回しをセットはプロジェクトのインフラになります。そこにコミュニケーションという”電力”や”水力”が絶えず流れるようにすることで、チームとしてのパフォーマンスが自然と上がっていきます。
コミュニケーションの即効フレーズ
とにかくプレイングマネジャーは忙しい。そのような日常業務の中で、”5秒でできる”
フレーズ集がまとめられていました。
仕事におけるコミュニケーションとは、「たまの名台詞」<「日常会話の積み重ね」です。「話しかけられ上手」「聞き上手」となり、部下から「話したい」と思ってもらえるように、こまめなコミュニケーションが必要となります。
これからご紹介する即効フレーズの目的は大きく3つです。いずれも”業務そのもの”に焦点を当てているのが特徴です。
即効フレーズの目的
- モチベーションアップ
- 業務の円滑化を目指す
- 情報の流通を促す
”5秒コミュニケーション”即効フレーズ
①「おはよう!」〜あいさつは上司から〜
上司としてコミュニケーションがスムーズにいくよう、朝からチームの空気を温めます。「おはよう!」に続けて「調子はどう?」「順調?」などと付け加えることで、「あなたのことを気にしています。問題があればいつでも相談にのる用意があります」というメッセージも伝わります。
②「最近どう?」〜”いつでも話を聞く”という雰囲気作り〜
プレイングマネージャー自身が”チームの一員”だち思っていても、部下にとっては”常に上司”です。つまり常にタイミングを見計らい話しかけてきます。部下からのSOSやトラブルを聞き逃すと、業務運営上のリスクが高くなります。
「最近どう?」と投げかけることで、「いつでも気にかけている。いつでも話をしてくれていい」という”空気”を醸成できます。
③「今はダメだけど〇〇からなら時間があるよ」〜「話を聞く用意はある」と伝える〜
プレイングマネジャーの最大の悩みは、「時間がない」ことに尽きます。いくら話を聞くことが大切かを理解していても、現実では忙しくて手が離せないこともあるでしょう。そのような時に「今はダメだけど〇〇からなら大丈夫」と伝えましょう。部下からは話しかけにくいので上司から具体的な代替案を出します。そうすることで部下は上司の「話を聞く用意がある」というサインを受け取り、安心します。上司が忙しいのと同様に部下も忙しいのです。信頼関係を損なわないようにし、お互いの時間を効率よく使う工夫が込められた言い回しです。
④「いい話?悪い話?」〜悪い話を即座にキャッチするフレーズ〜
部下が悪い報告をするときは、相当な重圧の中で話をしてくれます。そんな部下にはストレートに「いい話?悪い話?」といつもの口調でライトに聞きます。この時に詰問調にならないよう要注意です。このフレーズを言うことで、部下が悪い話を話しやすい空気にできます。悪い話ほど初期対応が重要です。「悪い話は迅速に伝えることが大事」ということを部下に理解させ、部下が行動しやすくなるコミュニケーションを日常的に取れるようになることがプレイングマネジャーが仕事を全うできるか否かのポイントになります。
感想
「コミュニケーションが大切」とはよく聞きますが、何をどうしたら良いコミュニケーションが取れるのかは、理解が追いついていませんでした。この本を読んで、日頃の何気ない会話を大切にしなければと思いました。
恥ずかしながら、特に上司である自分が「忙しい」という空気感を出し、部下や周りにそのような空気感を感じさせてしまっている自覚があるので、まずは部下にそう感じさせないようにしていきます。
このあたりの雰囲気作りは、Googleが公表している「パフォーマンスの高いチーム」の条件となる「心理的安全性」にも共通している部分なのかな、と感じました。プレイングマネジャーのコミュニケーションが、チームのパフォーマンスにも大きく影響していくものだと自覚し、この本で学んだことを仕事に活かしていきたいと思います。