まぐ太の金融と経営の扉

金融や経営に関することを書いていきます

事業再生の構造変化と取組み ~事業再生②~

長引く不況により中小企業の経営状況は悪化しています。金融機関目線では不良債権について、従来の倒産処理という認識から、事業再生による失業の予防、地域経済の活性化にシフトしつつあるように感じます。

今回は事業再生の焦点が、従来のBS型からPL型へ変化しつつあることや、金融機関の役割、経営改善契約書の策定、セーフティネットについて書いていきます。

事業再生の構造変化

BS調整型→PL調整型へ

バブル崩壊後の事業再生において焦点となっていたのは、バランスシート調整を行うタイプの不良債権処理が中心となっていました。コア事業は黒字でもノンコア事業に市場競争力がなく赤字で過大な債務を負っており、それが経営を圧迫しているといった場合です。これに対し、過剰設備の売却・閉鎖や過剰債務のDES・DDSの処理といったバランスシートの調整が行われました。

しかし最近ではこのようなバランスシート調整型(以下BS型)の事業再生のみでは解決できない問題が多くなってきています。原材料価格の上昇やリーマンショックなどの金融経済環境の悪化などで、需要や採算が急激に悪化し、競争力や収益力のあったコア事業が赤字に転落してしまうといったケースが増加しています。最近ではコロナウイルスによる需要の蒸発や、円安の加速による原価高騰などもBS型では解決が難しい問題です。

特に中小企業ではコア事業以外の事業が存在しない方が多いため、事業再生においてBS型よりも、損益計算書型(以下PL型)を主体とし、収益力の低下したコア事業の強化・収益力向上を図っていく必要があります。

PL調整型事業再生の特徴

PL改善型の特徴はコア事業の強化・改善による売上高の向上、業務見直しによる原価・コストの削減などの経営改善による業務リストラが主体となります。そのための事業計画の策定がポイントになります。

 

再建計画の策定

経営不振の中小企業にとって、経営改善計画をどのように策定できるかが、極めて重要になってきます。企業の状況や業種によって違いはありますが、再建計画に共通する記載事事項をリストアップしていきます。

①企業の概況説明

株主構成、組織図、事業内容、経営理念など

②外部環境分析

企業の置かれている市場環境・競争環境を見つめなおし、事業の選択と集中を推進するため活用します。SWOT分析、PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)、ビジネス・スクリーン(マルチファクター・マトリックス)、ファイブフォース分析、バリューチェーン分析など。

③内部環境分析

企業の持つ経営資源について、強み・弱みを識別し、問題点の核心や問題解決の優先順位を明確にします。SWOT分析、バランスト・スコアカードなど

④業績及び財産等の推移

経営不振の真の原因を探します。PL、BSの5〜10期の比較分析。キャッシュ・フロー計算書の作成、実態バランスシーの作成など

⑤窮境要因の分析、除去可能性

①~④の事項で事業、財務、内外部環境、競合他社の状況の多面的な分析を行った各項目について、各々の問題解決の具体的可能性と方法を検討します。

⑥経営再建についての概要

  1. 経営者の責任
  2. 具体的数値計画(損益計画、設備投資計画、資金計画、予想貸借対照表,具体的な行動計画)

計画スケジュールの管理者をきめ、5W1Hを意識しながら具体的なアクションプランを定期的にモニタリングしていきます。

 

セーフティネット保証制度

セーフティネット保証とは

セーフティネット保証制度とは、業況が悪化している業種の中小企業者を対象に、民間金融機関から融資をうける際に信用保証協会が返済を保証する仕組みです。一般保証の限度額が別枠化されています。最近ですと、リーマンショック東日本大震災新型コロナウイルスなどで設けられました。

セーフティネットの活用

セーフティネット保証により資金調達が可能となっても、国の緊急的な制度によって当面の資金繰りが確保できたことに留まります。むしろ借入金の毎月の返済金額は増加するため、現状維持では資金繰りが窮してしまうことが予想されます。

セーフティネット保証によって一時的に資金繰りに余裕が生まれたときに、いかに企業価値の向上や、本業の収益性を高めていけるか、中長期的な資金繰りを改善する対策を講じることができるかが重要です。