COVID-19の感染が世界177か国の地域に広がり、世界全体での感染者は累計で82万人を超え死者は4万人を上回っています。
中小企業の資金繰り支援策において、新しい商品がリリースされました。
前回の「感染症対応」同様に東京都の制度であるため、東京信用保証協会を利用することが必要となります。
「感染症対応」についてはこちらを参考にしてください。
新制度の名称は「感染症借換」です。
感染症対応との大きな違いは、”新規融資は出ない”ということです。
「え?どういうこと?」という方も多くいるかもしれません。この制度特徴は”借換”です。つまり既存でご利用している融資に対して効果を発揮します。そして既存の東京信用保証協会の制度融資を複数利用している企業ほど、その効果は大きくなります。
まずは制度概要から説明していきます。
感染症借換概要
対象企業
- 新型コロナウイルス感染症により事業活動に影響を受けていて、「最近 3 か月間(申込月の前々月を含めること。)の売上実績」又は「今後 3か月間(申込月の翌月を含めること。)の売上見込」が令和元年 12 月以前の直近同期と比較して、5%以上減少していること。
- 保証協会の保証付融資を利用していて、事業計画を策定し資金繰りの安定化や経営改善に取り組むこと。
↓下記資料の提出が必須です↓
該当届
http://www.sangyo-rodo.metro.tokyo.jp/chushou/086bbbc75b7167e9616c4ac65be2208a_1.pdf
事業計画書
http://www.sangyo-rodo.metro.tokyo.jp/chushou/b3e06f7b08238dfdd210bf785219e813_1.pdf
融資期間
運転資金 10 年以内(据置期間 2 年以内を含む。)
融資利率
責任共有対象外
3年以内 1.5%
5年以内 1.6%
7年以内 1.8%
10年以内 2.0%
責任共有対象
3年以内 1.7%
5年以内 1.8%
7年以内 2.0%
10年以内 2.2%
信用保証料
原則全額を東京都が補助
※但し元金返済が1年未満の場合は2/3
↓東京信用保証協会のページです↓
https://www.cgc-tokyo.or.jp/cgc_covid-19_info_2020-3.pdf
制度のポイント
はじめに書きましたが、この感染症借換のポイントは、”既存の融資について効果を発揮する”ものです。
例えば現在返済している保証協会付融資が3本あるとします。それぞれ融資を受けた時期や金額、返済期間がことなるものを、感染症借換にて「まとめて、返済期間を長期間に設定し組みなおす」ことが可能となります。
上の図について説明すると、既存借入は3つの金融機関からそれぞれ一本の融資を利用しており、毎月の返済額は390千円となっています。
この3本の信用保証協会付の融資を、ひとつの金融機関てまとめて期間を10年間で組みなおすことで 、毎月の返済額を150千円に圧縮できます。これはそれぞれバラバラだった返済期間を「10年」という期間を再度設定することで可能となります。
特に複数の金融機関との利用実績がなくても、ひとつの銀行から複数本利用している場合も有効です。すべてのお借入れを1本にまとめずとも、少なからず効果はあります。
このように借換には「毎月の返済額負担を軽減する」という効果があります。
今回の「感染症借換」にはもう一つの効果があります。それは「保証料補助」です。前回ご案内した「感染症対応」と同じように東京信用保証協会へ支払う保証料は、全額東京都が負担がしてくれます。つまり本件における借換の保証料は無料になることに加え、既存の借入をする際に支払っていた保証料については、借換により事前完済となるため保証料の返戻を受けることができます。
保証料の支払いについては、該当する融資を実行(通帳へ入金すること)する際に、差し引かれている場合が多いです。この保証料は当初の審査で決定した期間分として計算されています。(当初期間が5年なら5年分の保証料となっています。)それが借換により当初定められた期間よりも早く完済となるため、残りの期間分についての保証料が返戻されるというわけです。(当初期間5年の融資を借換により3年目に完済すると、残期間の2年分についてが返戻される)
よって
- 毎月の返済額負担の軽減
- 保証料の返戻
これが本制度を活用するメリットです。
注意してほしいこと
複数の金融機関で利用している保証協会付融資をまとめる場合には、完済する予定の融資を出している金融機関の「借換同意書」を提出してもらう必要があります。
借換同意書とは「事前に完済する金融機関には承諾をもらっていますよ」といった証明書のようなものです。この借換同意書がないと保証協会は審査すらしてくれません。
金融機関によっては借換同意書の発行に時間を有する場合もありますので、時間的な余裕をもって取り組まれるといいかと思います。
もし自社に当てはまるようなケースがあれば、お付き合いのある金融機関にご相談してみてはいかがでしょうか。
今後も新たな制度や動きがあればお伝えしていきます。