まだまだ感染拡大が続いている新型コロナウイルス。11日にはWHOがパンデミックを表明しました。
世界経済にも大きな影響を与え、日本経済についても日々深刻化しているような状態です。公的機関窓口への企業からの相談件数は3万件に達し、観光業・飲食業だけでなく製造業を含む幅広い業種に影響が広がっています。
日本政府においても日々資金繰り支援を含む経営支援策を打ち出しています。
東京都でも、新型コロナウイルス感染症により事業活動に影響を受けている東京都内の中小企業者及び組合の方々向けに、事業継続や経営の安定を図るため「新型コロナウイルス感染症対応緊急融資(略称:感染症対応)」の取扱いを開始しました。
これからご紹介するのは、日本政策金融公庫などではなく民間金融機関(銀行や信金など)で取り扱っている資金繰り支援策となります。
すでに取引のある金融機関がある場合には、併用して相談してみてはいかがでしょうか。
以下、商品内容を記載していきます。
新型コロナウイルス感染症対応緊急融資(略称:感染症対応)」
制度内容
1.対象資金
運転資金・設備資金ともに利用が可能
2.融資期間
運転資金 10年以内(据置期間2年以内を含む)
設備資金 15年以内(据置期間3年以内を含む)
3.融資利率
【固定金利】(責任共有制度の対象となる場合)
3年以内 1.7%以内
3年超5年以内 1.8%以内
5年超7年以内 2.0%以内
7年超10年以内 2.2%以内
10年超 2.4%以内
【固定金利】(責任共有制度の対象外となる場合)
3年以内 1.5%以内
3年超5年以内 1.6%以内
5年超7年以内 1.8%以内
7年超10年以内 2.0%以内
10年超 2.2%以内
↓東京信用保証協会の商品案内↓
https://www.cgc-tokyo.or.jp/leaflet/cgc_shingatakoronakinkyuyushi_leaf_2020-3.pdf
該当要件
新型コロナウイルス感染症により事業活動に影響を受けており、かつ
- 「最近3か月間の 売上実績」又は
- 「今後3か月間の売上見込」が令和元年12月以前の直近同期と比較して 5%以上減少している中小企業者
必要書類
通常の東京保証保証協会への申込書類に加え、以下の書類が必要です。
↓ここからダウンロードできます↓
http://www.sangyo-rodo.metro.tokyo.jp/chushou/ca34d6d16aae5b46132a304c2c464389.pdf
- 融資対象であることが確認できる書類(試算表、帳簿の写し等)の写し
「感染症対応」のポイント
1.セーフティネット4号・5号との併用
以前ご紹介した「セーフティネット保証4号」、「セーフティネット5号」と併用することが可能です。セーフティネット保証4号の条件を満たしている企業であれば、市区町村の認定証を提出することで「責任共有制度の対象外」(万が一倒産等に陥っても、金融機関は東京信用保証協会から全額返済してもらえる)となり、金融機関も前向きに検討してくれるほか、金利面での優遇と一般保証枠とは別枠での取り扱いになります。
但し、セーフティネット5号については責任共有制度の対象(万が一の場合には東京信用保証協会が債務額の80%を負担し、金融機関が20%を負担)となるため注意が必要です。
2.保証料負担なし
本制度融資については、保証協会に支払う保証料は”全額”東京都が補助してくれるため、保証協会利用時に懸念事項となる保証料負担がありません。
通常の場合ですと融資期間を長く申請すると、その期間分の保証料が先取りとなります。しかし本商品では全額を東京都が補助してくれるため、短期間で申請しても、長期間で申請しても、どちらも自己負担分はありません。そのため長期間の返済計画を立てることができ、一定額を調達しつつ毎月の支払いを軽減することにも繋がります。
3.一般保証
上記項目番号1番でも説明したように、本制度はセーフティネット保証4号・5号の「市区町村の認定証」がなければ一般保証枠内での取り扱いとなります。よって既に一般保証での融資利用額が多くなっている場合は、審査が厳しくなる場合があります。
セーフティネットの認定証を市区町村が発行してくれるまでに、一定期間を有するため、緊急性の高い場合には一般保証にて申請するのもありかもしれません。
この3つのポイントを考慮すると、「セーフティネット保証4号」と「感染症対応」の併用が最もメリットが大きいです。
併用することで、金利優遇・別枠保証・保証料補助という3つの優遇を受けることが可能となります。もしセーフティネット保証4号の該当要件を満たしているのであれば、本制度との併用をご検討いただけるといいかもしれません。
改めて注意点を書いておきますが、本制度は”東京都”の制度であり、本社登記地が東京以外の企業や、個人事業主の方は該当する信用保証協会及び自治体の制度融資を活用することになりますので注意が必要です。
具体的に相談をご検討される場合は、すでにお取引のある金融機関等にご相談するとスムーズに申請できると思います。