世界各国で新型のコロナウイルスが広がっており、日本でも社会活動に影響が出てきています。
そんな中で政府は日本の産業を支える中小企業に対し支援策を打ち出しました。
大きな柱は3つです。
- 徹底的な資金繰り支援
- サプライチェーン・観光業対策
- 経営環境の整備
ここではその中でも、1の「徹底的な資金繰り支援」について深堀りして記載していきます。
資金繰り支援策には、さらに主に4つの具体策が打ち出されています。
①セーフティネット保証4号・5号
セーフティネット保証とは、中小企業信用保険法にて定められている制度です。1号から7号まであり、様々な事象に対応する保証制度となっています。ひと言で表すと「特別な融資制度」というイメージです。
信用保証協会という公益法人と連携して、金融機関が融資を行います。このセーフティネット保証は主に"新規に資金調達を検討する場合"に利用が可能となります。
今回のコロナウイルスでは、セーフティネット4号と5号が認定されました。
重大な影響が生じている業種に、別枠(最大2.8億円)で80%保証
といった定義がなされています。
それぞれに定義されいている原因(今回であれば新型コロナウイルス)により事業に影響が出ている企業や個人事業主が対象となります。
融資金額の最大2.8億円というのは、信用保証協会へ担保提供をしている、またはこれから担保提供をするというのが前提です。無担保での利用は原則最大8,000万円です。
セーフティネットを利用する場合には、最初に市区町村での認定証が必要となります。認定証の書式は各自治体で異なるようなので、自社の市区町村のHP等をご参考にしてみてください。
↓セーフティネット保証の詳細は中小企業庁のHPを参考にしてください。↓
②セーフティネット貸付(要件緩和)
売上高の減少等の程度にかかわらず、今後の影響が見込まれる場合も含めて融資を受けることが可能です。
これも新規調達が主な目的の場合に利用できます。
③衛生環境激変対策特別貸付
一時的な業況悪化等となった旅館業等営業者に、通常と別枠で特別貸付をします。
④金融機関等への配慮要請
事業者からの返済緩和要望等への柔軟な対応を要請します。
こちらは新規に資金を調達すという今までの支援策とは異なり、返済緩和(リスケジュール)を金融機関側が受け入れやすくなるといった内容です。
新規に調達するのも方法のひとつ。返済金額の減額をするのも資金調達のひとつの方法であると私は考えています。
②、③については、100%日本政府出資の金融機関である日本政策金融公庫が対応しているため、詳細はHPをご覧ください。
①のセーフティネット保証、④の返済緩和については現在お取引のある金融機関にて相談が可能です。
②、③は日本政策金融公庫のみでの対応となります。
最初にも書きましたが、セーフティネットは特別な事業が発生したときに利用できる融資制度です。項目番号①のセーフティネット保証については、市区町村の認定証を取得するなど、通常の融資審査よりも手間がかかったり時間を要することもあるかもしれません。
しかしこのセーフティネットが制定されるという背景を考えると、国の「この危機を乗り越える」といった姿勢も見えてきます。そのため各種機関(市・保証協会・公庫・金融機関等)は通常に比べ審査にはスピード感をもって取り組むだろうと考えられます。そのため”多少の書類の多さ”といった煩雑さと”審査スピード”などを勘案すると、該当要件を満たすのであればセーフティネットを利用してみるのもいいのではないかと思います。特に項目番号①のセーフティネット保証については、市区町村の認定証を取得することで、保証協会の一般保証とは別に審査を受けることができます。(いわゆる別枠扱い)
また今回のセーフティネットの優位点の一つは「融資期間を長く設定できる」ことです。
通常金融機関が運転資金を協力する場合は、5年や長くても7年といったケースが多いですが、今回の制度では運転資金でも10年で調達できたりと、返済期間を長く設定することが可能です。返済期間を長く組むメリットは毎月の支払金額が少なくなり、その分資金繰りには優位に働きます。半面、期間が長いと総支払利息は多くなってしまいますので、自社の返済余力や今後の資金繰りを検討したうえで期間は設定していくのが良いでしょう。
まだまだ影響が計り知れない今回のコロナショック。世界経済にも影を落としつつあります。この危機を乗り越えるためにも、国の支援策として打ち出された支援策を活用してみてはいかがでしょうか。
次回は、多くの会社が利用できるセーフティネット保証について詳細に書いていきたいと考えています。